世界の列強と言えば圧倒的にアメリカでそのGDPは今でも世界の20%以上を占め、それに中国が続き、辛うじて日本が3位をキープしている。日本が中国にGDPを抜かれて以来、ここ数年はそんな立ち位置が続いている。一人当たりのGDPで考慮すると、シンガポール、欧州諸国などが日本より圧倒的に上位にくるが、人口も国力の大きな要因であることから、人口も含めたGDPこそが、やはり世界の中での存在感であることは間違いない。なんとなく世界のGDP(国力)はここ数百年でどう変化してきたのだろう。すごく気になりだしたので、メモ的にではあるが検証してみることにした。
世界各国のGDPをまとめたデータを探してみたのだが、とりあえず調べられる範囲で見つかったのが、1820年からの世界のGDPをまとめたアグサス・マディソンの「世界経済の成長史」だ。同著によると1820年当時の世界のGDPの順位は、
①中国199,212(構成比28・67%)*単位はすべて100万ドル
②インド93,125(13.40%)
③フランス38,071(5・45%)
④ロシア37,873(5・45%)
⑤イギリス34,829(5・01%)
⑥日本21,831(3.14%)
⑦ドイツ16,393(2・35%)
⑧イタリア12,975(1・86%)
⑨アメリカ12,432(1・78%)
⑩インドネシア11,011(1・58%)
となっている。
ちなみに、2015年の世界のGDP順位は
①アメリカ17,947 *単位は全て10億USドル
②中国10,982
③日本4,123
④ドイツ3,357
⑤イギリス2,849
⑥フランス2,421
⑦インド2,090
⑧イタリア1,815
⑨ブラジル1,772
⑩カナダ1,552
⑪韓国1,376
⑫ロシア1,324
となっている。
1820年の世界のGDPの構成比は中国が28%強を占め、圧倒的なトップで、次にインドが13%強で続いていた。中国、インドへの欧州列強による攻勢は迫っていたものの、当時は国土の広さ=GDPの大きさという局面が大きかったことが分かる。また現在圧倒的な1位のアメリカのGDPは当時9位で、世界の1・6%弱に過ぎない。今僕たちが当たり前だと感じてる国力は、たかだが200年前ではまったく別物だったのだ。アメリカのイギリスからの独立は1776年であり、それからまだ40年強しか経っていなかったアメリカは、独立は果たしてもまだまだ経済的には弱かったのだろう。
またこのGDP推移から意外に思われるのが、当時の日本のGDPの高さだろう。当時の日本のGDPは鎖国しているに関わらず、世界6位の規模だったのだ。ただこれも人口面によるところが大きいと感じられる。
1820年時点の世界人口は10億人強で、その当時の日本の人口は約3000万人。世界人口の3%強を占めており、世界のGDPのい3・14%を占めていることは、鎖国によるマイナス面は(鎖国してなかっても、今のようなグローバル生産体制はどこも築けだかったので)さほど影響なかったということなのだろう。
ちなみに今の日本のGDPは世界の約8%を占めており、日本の人口1億2000万人は世界人口72億人の1・7%なことを考えてみると、日本の世界の中での国力(グローバルでの相対的な経済力)は1820年当時と比べと、2・5倍になっていることになる。(日本の人口成長率が世界平均より下なので、一人当たりの相対的な成長は約5倍)。
明治維新と近代化、3度の世界戦争、奇跡と言われた戦後の復興、バブルとその崩壊を重ねた200年間で、日本の国力は世界比較を約2・5倍上回る成長を果たした。果たしてこの数字はすごいことなのか否か。好き勝手に考察してみたい。