みとのひとりごと

40代独身、人生散歩中。

村上春樹好きのベトナム人に思うこと。

 日本語教師のボランティアをオンラインでやっているのだが、この前、30歳前後のベトナム人女性との間で、村上春樹トークになった。日本の漫画、アニメが好きなベトナム人は多いが、それが少し進むと村上春樹好きあたりに移行するらしい。その女性は広瀬アリスっぽさもあるまぁ美人(個人的にはベトナム人広瀬すずやアリスに似ている娘が多い気がするのだが、オラは好みではないだけど)だが、ベトナム人のファッションやいろいろな感覚も、けっこう日本人に似てきたものだと、改めて感じた。

 思い返してみると、初めてベトナムに行ったのは1990年代後半だったが、その時のベトナムと日本はなかなかの断絶感もあった。ベトナムにはその後も数年に1回は定期的に仕事や旅行で行く機会が多かったが、グローバル化日系企業ベトナムへの大量進出もあり、その距離は年々近くなっていた。2013年頃からはベトナムからの技能実習生の大量入国もあり、ベトナムと日本の心理面、物理面の距離はさらに縮まっている。個人的にアジア各国の感性の先進国化(ある種の日本化?)を考える上で、村上春樹の人気度合いが一つの目安になると思っている。2000年代後半に、韓国の20代にネットでからまれ、「海辺のカフカ」の主人公は自分の分身で、その気持ちがやたらと分かるとドヤられたことも、なんとなく思い出した。ちなみにそいつはほんとか嘘か知らないが、親はサムスンの幹部だと言っていた。

 多分村上春樹の作品がベトナムで本格的に売れ出したのは、2010年以降だと思う。それはベトナムの経済成長がさらに加速するタイミングだった。そして今、前の女性によると、村上春樹は今かなりベトナムの若者に人気だとのことだ。ちなみにその女性は、「のノルウェーの森」と「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と、そして「1Q84」が好きだとのことだったが、感想を問うと「不思議なことがおこって、男性がいいかげん」というばっくりとした感想で若干の物足りなさ。なかなかにベトナム人が、村上春樹の魅力を日本語で説明するのは難しいわな。まぁオラも、英語で好きな作品の説明するのは、まぁ無理だし仕方ないか。将来の夢は日本語の原本で、村上春樹の作品を読みたいのが夢だと言っていたが、あのややこしい独りよがり比喩の理解はなかなかハードルが高そうだが、そのうちその感想も聞きたいな笑。

 村上春樹のデビュー作品の「風の歌を聞け」での979年だったと思うが、その頃の日本は学生運動も終わり、戦後日本の大きな物語も枯渇し始め、改革や物質的欲求でなく、自分だけのもやもやした悩みへの精神的満足を満たすための時代の初期でもあった。そのもやもやした感覚への共感が、今のベトナムでも浸透しているということなのだろうか。それがいいことが悪いことは分からないが、なんとなく寂しいことだとも思った、そんなどうでもいい感想でした。