みとのひとりごと

40代独身、人生散歩中。

赤塚不二夫みたいに、飲みたいな。

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「まだ少し時間がある。飲みにに行こう」。

 近所の居酒屋でべろんべろんに酔いながら、赤塚不二夫のそんな言葉を思い出した。赤塚不二夫が、「天才バカボン」の原稿を紛失しまった編集者に投げかけた言葉だ。そんなかなりの危機にそんな言葉をさらりと投げかけられる、その器の大きさはすごい。その後飲んで戻った赤塚は、また同じ話を書き上げて、「2度目だから、もっとうまく描けたよ」と笑顔で、その編集者に原稿を渡したという。

 素直にその優しさ、ポジティブさが羨ましくなった。そこまで人は優しくなれるんだよな。場末の飲み屋で250円のレモン杯を飲みながら、そんなことを漠然と考えた。

 赤塚不二夫の生き方はほんとうにすごい。タモリとの数々の逸話をはじめ、ときわ荘での物語、飲み屋での梶原一騎との逸話など、その生き方はすごい格好いいな。その生き方は、岡本太郎と同じくらい羨ましい。

 酒は人の気持ちを良いようにも、悪いようにも変える。10年以上前、タイで現地のおっさんと険悪になり、けんかになりかけた時、おっさんが「とりあえず飲んで忘れよう」と言ってきたことを思い出した。2人で飲んでるうちに、なんとなく楽しくなり、そのうち何で腹を立てていたのかも思い出せなくなった。人生なんて、そんなもんなのかな。

 ちなみに、編集者が紛失した赤塚の原稿は、1週間後にタクシー会社から赤塚宛に郵送されてきた。赤塚は、「2度と同じ失敗を繰り返さないように、お前が持ってろ」と、その編集者にプレゼントされ、その後35年間自分への戒めとして持ち続けたという。赤塚の死後、その原稿はフジオプロに返却され、現在そこには「天才バカボン」の同じ回の原稿が2つ存在するという。なんか、そういうのいいな。