みとのひとりごと

40代独身、人生散歩中。

新世界と西成

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 久しぶりに大阪出張だったので、西成(あいりん)に泊まってきた。
まず、新世界をぶらりとと歩く。中国人観光が目立ち、通天閣の周辺は新しい串カツ屋ばかりで、昔とずいぶん変わっていて、なんとなく寂しい。そういえば昔通天閣の地下にあった将棋道場に通っていたっけ。それももう20年近く前なんだが。
昔の新世界の風景を探して、奥の路地を歩く。新世界東映の前を歩く。昔と同じままな風景だ。多分30年前から変わっていないだろう。「沖縄やくざ戦争」と「ひばりの弁天小僧」の2本立てがやっていたので、なんとなく中に入る。1300円。弁天小僧は1950年代、沖縄やくざは70年代の作品だろうか。まぁ館内のおっちゃんたちはほとんど60代後半以上なので、無難な選択なのだろう。
 映画館のシートに座り、なんだか違和感を感じる。あっ、灰皿がなくなっている。2年くらい前に行ったときは確かに、映画館のシートに灰皿があったはずなのに、なくなっていた。そしてスクリーンの横には「禁煙」の大きな文字。まぁ2年前の映画シートに灰皿があり、おっさんたちがタバコ吸いまくりの現状もどうかと思うが、灰皿がなくなってしまった現状が、なんかとても悲しい。
沖縄やくざ戦争」の中の松方秀樹、梅宮辰雄はどちらも若くてギラギラしていて、時の流れを感じさせる。映画の舞台(たぶん日本復帰後すぐ?)の沖縄はとても貧しくて、寂しくいたたまれなくなる。席替えもなく2本の映画がエンドレスで繰り返すのをなんとか見終わったので、映画館を後にする。

 新世界から西成の職業安定所の横を抜け、あいりん地区に入る。
新世界から少し歩いただけなので、そこには淀んだ空気が流れている。
おっさんんたちが道端に等間隔に意味もなくぼーっと座っていて、缶チューハイを飲んでいる。バラックのような飲み屋も多い。なんだかゆるく、不思議な時間が流れている。1泊800円の木賃宿に、50円の缶ジュースの自販機、100円均一の総菜ー。この値段設定は、今ではタイのカオサンより安いんじゃないのかな笑。
 昔は違和感を感じていた光景なのだけど、今の僕にはそのゆるさへの羨ましさの方が増しているみたいだ。おっさんたちと少し距離をあけ座って缶チューハイを飲みながら、空を見上げる。おっさんたちを眺めながら、あっ、俺ももうおっさんかと気づく笑。そんなことを考えてた、久しぶりの西成の昼下がりだった。 

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