みとのひとりごと

40代独身、人生散歩中。

「今ではない」という感覚

 世の中がこれからどんな形に大きく変わるかは分からないが、足元の現実はある種の小康状態が続いている。居酒屋は大量閉店、大量倒産はまったなしだが、今は政府の補助金内部留保でなんとか倒産をなんとか延命している状態。日本企業のデジタル化も、ポジショントークの応酬で、うるさいまでのDX、DXの大合唱だが、足元はたいした動きもなく、今後もスムーズにうごくわけはないだろう。EVは進み、自動運転は早ければ2025年にロボット自動車が実用化されるなんて妄想もよく聞くが、多くの既存利権、交通法改正問題もあり、個人的にはあと10年、20年間は抜本的な変革は難しいと思っている。ESG、SDGsも言葉先行なだけで、中身がまったくともなっていない。

 世の中のデジタル推進派は、ここ10年間のスマホ経済圏の拡大を例に出し、スマホと同じように、今後10年間の世の中はさらに加速して変わるはずだと、どや顔大声だが、個人的には日本も、世界でも、簡単にそうはならないと思っている。スマホ経済圏が一気に拡大してことは、その革新性はさることながら、今までの経済と全く違うアプローチで拡大できたことが大きかった。自分だけにパーソナル化された手のひらメディアという打ち出しに、マスをターゲットにした既存のテレビや新聞が勝てるわけは始めからなかったのだ。

 だが今後のDXの舞台は既存権益、既存の仕組み、体制側とのがっぷり四つの戦いとなる。その変革の実現は、GAFAMなどの新興勢力にとって今まで経験したことがない難しいものだろう。EVひとつとっても、テスラの株価がただ現状では上昇しているだけで、EVの普及はまだまだ見えていない。その先のロボット自動車なんてものは、もっと先だ。既存の交通ルールとのすり合わせは、ものすごい時間がかかるだろう。フェイスブックの仮想通貨リブラの参入も、アメリカ政府に潰されて、というかアメリカ政府が認める理由がまったくなく、早々に潰された。そもそも政府にとって通貨発行権とは最大の利権であり、たいした血も流さず、そんなことを一民間企業が実現することは、そもそも不可能だろう。国家を甘く見過ぎているフェイスブックは未来も暗いだろうな。個人的には、ビットコインは今もチューリップバブルの息をまったく出ておらず、同バブルの時と比べてグローバルの経済規模(ねずみ講の分母)が増えているだけで、いずれゼロに近づくと確信しているし笑。

 閑話休題。何か話が脱線してしまったが、今いろいろの情報が錯綜しているが、どう動くにしても「今ではない」タイミングだと思っている。株価ひとつにとってみても、じゃぶじゃぶ金融層がで世界の株価は下落せず高値止まりしており、「ニューノーマル」「MMT」なんて嘘くさい合言葉で、株高今後も続くなんて、声も聞かれだている。アメリカのブラックマンデー前の靴磨きの少年の株トークを聞いて、あわてて全ての持ち株を手仕舞いした資産家の話は有名だが、それは今の世の中で当てはまるようで当てはまらない。ネット情報社会の今は、一億総なんちゃってトレーダー、靴磨きの少年であり、市場には靴磨きの少年であふれている(というか靴磨きの少年でないのはインサイダーと政府系ファンドくらいか??)。靴磨きの少年が増えすぎた世の中では、その法則は機能しないだろう。

 だから世界の株式市場が今後の上昇を続ける可能性もかなりあると思っている。だが同じくらいにリーマンショックどころでない崩壊相場、理解不能の変革が来る可能性も同様に大きい。コロナ相場前には冗談で、「相場が崩壊するのは今まで経験したことがない、先がよく分からないことが起きるから。だからリーマンショックの次の相場が崩壊するのは、宇宙人が攻めてくる時じゃないの」と言っていた。その理解不能なことがコロナであり、世界が協調した金バラマキでコロナ経済問題を今は先送りしているが、先送りの先に「今まで経験したことがなかった」何かが起こることは確かだ。そんな曖昧な本能にも似た危機意識が、最近常に頭の片隅をよぎっている。とにかく、しばらくは「今ではない」という節制力を持ちつつ、へたに動かず、いつかのチャンスを待つしかないのだろう。