みとのひとりごと

40代独身、人生散歩中。

異世界転生アニメ進化論?今や、女子高生が異世界転生して蜘蛛になる時代か。

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 1月から始まった今期アニメ「蜘蛛ですが、なにか?」に、けっこうはまっている。女子高生が異世界転生し、なんと蜘蛛に生まれ変わり、蜘蛛の姿のまま自力でサバイバルするという、なんか色々なテイストが詰め込まれた作品だが、これがなかなかに面白かったりする。異世界転生アニメが進化しているのか、それとも無駄に何でもあり化しているのかは定かではないが、なかなかに興味深い。

 2012年に放映(原作は2009年)された「ソードアートオンライン」以来、最近のアニメ作品は、異世界転生(転移)もので埋め尽くされる、悲しい状態に陥ってしまっている。ソードアートオンラインは、主人公が死亡していないので、正確には異世界転移ものであり、そしてゲーム世界への主人公の異世界転移にもちゃんと納得できる説明があり、特に第1期はかなり楽しめた。

 ただその人気に味を占めたここ7,8年の異世界転生アニメの連投にいささかお腹いっぱいだ。さらに初期設定を考えるのがめんどくさいのだろうが、異世界転移モノではなく、だいたいに主人公が不慮な自己で死に、異世界で生まれ変わるという、異世界転生モノがベースとなった。勇者やヒロインへの転生ものは初期で飽きられ、徐々に異世界転移する人物は多岐に変化。魔王に生まれ変わったり、幼女に生まれ変わったり、スライムに生まれ変わったりと、そのアイデアはまさに乾いた雑巾を絞るに等しい努力だろう。そして今回遂に、女子高生が死んで蜘蛛に生まれ変わったアニメが始まった。ただ原作は2015年からの人気シリーズみたいなので、5年前には既にこのアイデアは展開されていたわけだが。

 異世界転生(転移)アニメの歩みを少しググってみたが、最近の異世界転生(転移)アニメのルーツとされるのは「聖戦士ダンバイン」(1983年)らしい。富野由悠季ガンダム(1979年)後に、「風の谷のナウシカ」にぶつけるために作った作品とされるが、さすがに個人的にはまだ小学生前後だったので、リアルでの視聴経験はまったく記憶にない。ただ、中世ヨーロッパ風の都市を舞台にしたロボットモノで、異世界転生要素も含めて、多くのアニメのルーツ感が満載で、一度見てみたい感は強い。

 続いての異世界転生アニメで関心が高いのが、2000年代に入ってからの「十二国記」(アニメ2002年、原作1991年~継続中)「ゼロの使い魔」(アニメ2007年、原作2004年~)あたりの人気が大きい。個人的にも「十二国記」は大好きな作品なのだが、異世界転生アニメというよりは、異世界転移を物語の窓口はしているが、それ以上に中国風世界観の歴史物と少女の冒険記要素が大きすぎて、ちょっと異世界転生モノとしてだけの位置づけは失礼かもしれないとも思う。

 なんとなく異世界転生(転移)アニメの歩みについて考えてみたが、そのもとととなる異世界転移型の物語の元祖は何なのかと考えてみた。個人的に好き作品なのは、小学校高学年くらいでものすごくはまった「はてしない物語」(1979年)と、「ナルニアの国物語」(1950年~56年)の2作品を思い出した。特に「はてしない物語」は、個人的には人生で一番始めにはまった物語であり、初めて読んだ小学校5年の時は、毎日授業中もずっと「はてしない物語」のことばかり考えていた。さらにあまりに好きすぎて子どもの頃の読後感を消したくないために、最後に読んだ高校生の時以来、再読もしていなかったりもする。「はてしない物語」は「ネバーエンディングストーリー」として映画化され、世界中で大ヒットしたが、個人的にはこのネーミングはあまり好きでない。「はてしない物語」という文字間、行間がとても素敵すぎて、「ネバーエンディングストーリー」という薄っぺらい感のあるタイトルに未だに慣れない。ちなみに作者のミヒャエル・エンデはドイツ人で、作品の母語もドイツ語なので、どちらのタイトルも別に本物ではないのだけど笑。ちなみに「ナルニアの国物語」も大好きな作品ではあるのだが、ここまでの思い入れはないので、このブログでは感想は割愛したい。

 また異世界転生物語ルーツと近代ファンタジーという枠組みで捉えると、「不思議の国のアリス」(1865年)と「ピーターパン」(1904年)の2作品が、特に後の作品に影響を与えたと考えられる。両方とも原作は昔に読んだきりだが、確かにそのテーマ性は今も色あせない。定期的に両作品とも映画化、アニメ化などをされているという面も考えても、現代でも色あせない物語力は大きいのだろう。

 なんかだらだらと書いてるうちに意外と長文になってきたので、最後に本題の「蜘蛛ですが、なにか?」のアニメの感想を一言だけ。女子高生が蜘蛛になるという奇をてらった設定だけでなく、蜘蛛に女子高生感を加味したキャラクターの見た目に加え、蜘蛛の特技を利用した圧巻な戦闘シーン、ちょっとグロテスクな食事シーンなど、見所は満載だ。考えてみれば、不慮の事故で死んで生まれ変わったら、グロテスクの蜘蛛になっているというシュールなテイストは、カフカ的な不条理性を意識しているともいえる。もしかしから、すごい奥深いテーマも秘めているのかもしれないな笑。

 ちなみに20代の中国人のアニメ好きの知人(男性)とこの前雑談していたところ、今期のアニメでこの作品が一押しとのこと。なお彼は「転生したらスライムだった件」も大好きなので、まぁ異世界転生物が全般に好きなんだろうね笑。ちなみに彼はグローバルなコンサルティング会社に勤めるかなりのエリートだったりする。今の若者はアニメの趣味もなかなかにグローバルで共通なんだなと、なんとなく納得したりした。それそろ書き疲れてきたので、今回のブログを締めくくりたい。